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短編小説「筋肉☆ガール」

レン少年は憂鬱だった。

繰り返す日常に、雑音ばかりの生活に、モノクロに映る町並みに。

苛立つ指先で携帯をいじってみても、目新しい発見などあるはずも無く、
ただぼんやりと時間は過ぎていく。

何かを変えたい。そう呟けど、その「何か」など自分でも分からない。
ただ、ただ、塵のように不満はそこかしこに溜まり、心はそれで汚れていった。

そんな彼に手を差し伸ばす少女が。

「あなたの願いを叶えましょうか?」

小柄な身体に、金色の髪の毛。年は同じくらいなのだろうか。
何処かであった事があるような、懐かしい雰囲気を持った、不思議な少女だった。

それにしても何を唐突に言っているんだ、○○ガイかこいつは?
と、訝しむレン少年の胸中は穏やかではない。

しかし。彼はその華奢な手を掴んだ。

新しい何かを、その手の中に見つけられる、そんな気がしたのだ。(その女の子が、可愛かったからではない)

read moreで続き。





彼女はレンの手を掴むと、急に歩き出した。
「え、ちょ。。。」
驚く彼を見向きもせずに、ただひたすらに。

そしてその力は強く、簡単には振りほどけそうにも無かった。
(決して女の子に手を握られている事や、この先どこに連れていかれるかという妄想を楽しんでいるがために放さないのではない。)

「まぁ。いいか」

レン少年は観念してついていく。

縛られた日常にお別れを告げる間もなく、彼は振り返らず、その少女に連れられるがままに歩き続けた。


そして三日が経った。

死ぬ、と思った。
不眠不休、飲まず食わず。
夜が来て、朝になり、日の光に照らされ、また夜になる。

何度も彼女に話しかけたが、答えてくれない。
離れようと必死になったが、その手の力は強く、振りほどけない。
(どうせなら頑張ってセクハラもしとけば良かったと後に語っている)

雨が降った。山を登った。野生の鳥に攻撃された。
砂漠のような地帯を抜けた。回り道をすれば良いのに、湖を泳いだ。

そして今はなぜか雪山にいる。

ここまでどんな道を歩いてきたか覚えていない。
疲労と空腹で、現実なんてどうでも良かった。

地獄からの使い魔、それが彼女だったのだろう。
だからこんなにも苦しくて長い道のりへと、僕をいざなった。

そして意識が朦朧として、倒れるかと思った瞬間、安息は急に訪れた。

雪山の中の、木造の大きな家に辿り着いたのだ。
暖炉の火が揺らめき、温かな幸せに満ちているそこは、まさに楽園だった。


呆然とその光景に見とれていると、今は彼女の手が離れている事に気がついた。

あれ。。?

思わず部屋を見渡すと、台所があるであろう方向から彼女が歩いてきた。

「これを。。。」

初めて彼女の声を聞いた。優しい声だった。
そしてその手に握られているのは温かな飲み物だった。

カップで冷えた手を暖めながら、飲み物を飲む。

涙が溢れて止まらなくなった。

疲れ、心細さ、空腹、怒り、全ての負の感情を経験した彼が行き着いた場所は、

何気ない普通の部屋。

そして、その場所のなんと幸福な事か。

三日前の自分は知らなかった。
あの日常が、あの毎日が、こんなにも幸福で暖かいものだとは。

悪魔かと思われた彼女は、実はその事を教えにきたのだ。

何も分かってやしなかった、子供の自分に。


僕は忘れない。あの辛い道のりを。

そして辿り着いた、あの部屋を。

そこで飲んだ、プロテインを…。
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| 雑記 | 18:14 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

No title

感動して目からプロテインが!

| しうか | 2009/10/30 19:35 | URL | ≫ EDIT

No title

wwwwwwww
題名も「!?」でしたが最後のぷろていn((ryも「!?」でした・・w
でも素晴らしいですねb
さすが文系!
退屈そうに見える毎日というのが一番幸せなんですよねw
毎日それをかみしめられたらどれだけいいことか!

| mikan | 2009/10/30 20:43 | URL |















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